久しぶりの更新です。なんとあっという間にデイライトセービングタイムの時期が来てしまいました。そのため、午後6時半でも薄明るくなっています。春到来です。
そして、目がかゆく、くしゃみが止まらないことでも春だなあと感じます。日本だとマスクが出来るけど、こちらでマスクをしているとかなり不信な目で見られ、罪人のように見られるせいでマスクが出来ません。なので、花粉が身体に入りたい放題。マスクもゴーグルもし放題の日本がうらやましいです。
さて、先週Seattle Knitter's Guildの集まりに行ってきました。これはシアトルに住む編み物人の集まりで、毎月一度会合があり、ゲストスピーカーが招待されます。
そのゲストスピーカーも毎回かなり豪華で、「あ、あの本の著者の人ね!」とすぐに分かる人が多かったりするのです。シアトル、編み物サポートすごいです。
先日のゲストスピーカーはスザンナ・ハンソン(Susanna Hansson)さんでした。彼女は日本で行われた北欧ニットシンポジウムにも招待された、ボーヒュースニッティング(Bohus Knitting)で有名なデザイナーさんです。彼女はスウェーデンで育ち、1980年代後半からシアトルに住んでいてSeattle Knitter's Guild設立にも携わった方です。
ちなみに彼女のサイトは
こちら。
彼女のことは、サンフランシスコで講義を受けたヴィヴィアン・ホクスブロさんから聞いていました。「スザンナはね、とってもいい友達なの。すばらしいニッターよ!特にボーヒュースニッティングは芸術的ね。」
今回の講義には恐らく100人くらいの人が来てたと思います。近くの教会で開かれたのですが、ニッターの多さにびっくり。そしてみんな講義を聞きながらひたすら何かを編み続けていました。
スザンナさんのお話はこのボーヒュースニッティングの伝統、歴史、パターンの特徴などとっても面白いものでした。このボーヒュース編みは1939年から1969年までスウェーデンで盛んに使われていた編みかたで、一見フェアアイル?と思いがちなのですが、いくつかはっきりとした違いがあります。
- それぞれのモチーフが縦列にシンメトリーに並んでいないこと。
フェアアイルをよく見てみると一つ一つのモチーフが縦にきれいに、ずれることがなく並んでいるのに対し、ボーヒュースはモチーフがずれて並んでいます。これは、何でも好きなデザインを自由に入れるということが、シンメトリーにデザインするということよりも大切にされたかららしいです。
フェアアイルの原則は一列に対し、2色までが限度とされていますが、ボーヒュースはそんなこと関係なし。ファッション性が重視されているので、見た目がよければ一列に何色も混ぜるそうです。
フェアアイルは使わない糸を裏に渡す場合、5目までとされています。でもボーヒュースはそんな原則ありません。
編みこみのセーターを思い浮かべると表目だけで編まれたものが多いですよね。でもボーヒュースは裏目もあわせているので、独特のテクスチャーがでてきます。
- 伝統的なボーヒュースは毛足の長いアンゴラ入りの毛糸を使う。
- スティークはなし。
オートクチュールを求めるので、フェアアイルのようにまっすぐ表だけを見て編んでから、切り込みを入れるという方法は使わなかった。
スザンナさんが強調していたのは、他の北欧の編み物は寒い地域に住む家族を暖めるために編むことから始まったけれど、このボーヒュースはファッション性が重要で、顧客はイングリッド・バーグマンやグレース・ケリーなどの女優の人たちなどかなりの高級品として編まれていました。
スザンナさん、いくつかの彼女のコレクションであるボーヒュースのセーターを持ってきてくれたのですが、一見見たらまさに既製品としか思えないほどで、普通はみんな機械編み?と思うらしいです。
その精巧さに、一着何十万もするのもうなづけます。
ところで、この集まりに行った際、最近編みあがったアラン模様のベストを着ていったのですがお褒めの言葉をいくつかいただき、帰りはかなりご機嫌でした。
使った毛糸は、前に紹介したBlack Water Abbey Yarnのアイルランド製の毛糸です。ざらっとした手触りで、さすがアイルランド製だけありアラン模様がとってもよく映えてるような気がします。
後ろのネックの部分は、前のボタンバンド部分の延長で、引き返し編みをしながらカーブをつけて、後ろの中心でくっつけました。編み図は
こちら。ウエストシェイピングもまったくないのですが、身体のサイズに合うように編んだので、ぶかぶかすることもなく、着心地がとってもいいです。
今回学んだのは、縄編みをケーブル針を使わずに編むこと。これが出来ることで、ものすごくスピードアップしました。いちいち手を止めて、縄編み専用針を手に取って編むって結構時間がかかるんですよね。YOUTUBE先生、さまさまです。
Ravelryにも
こちらにアップしてます。結局3玉を使い切ることなく出来てしまったので、余り糸で帽子ぐらい作れるかもしれません。
最後の写真は、ついに始めての靴下です!
今まで何度か編んだ靴下ですが、いつも一足で、つまりソックスではなくソックで終わってしまっていたのです。典型的なSecond Sock Syndrome(一つ目の靴下を編んで燃え尽きてしまうこと)から抜け出せずにいました。
しかし今回はそのシンドロームを突破!3日でペアが完成しました。
早速履いてみて、その履き心地のよさとクッション性にびっくり。既製品の靴下は化学繊維が多い場合がほとんどだと思いますが、手編みだとウールの量が多いこともありあったかい!
なるほど、だからみんな靴下編みにはまるのねと、やっと謎がとけました。もうセカンドソックス怖くないぞ。