残念ながら、写真撮影は許されなかったため会場の写真はありませんが、クラスのことと楽しみにしていたマーケットプレイス(出店)のお話をしたいと思います。
このマドローナは4日間のイベント。編み物と紡ぎをやる人たち向けにいろいろなクラスがありました。編み物のクラス-Twined Knitting, Fair Isle, Colorwork, Helix Knitting, Brioche, Double Knittingやセーターのデザインの仕方や仕上げ方、ラトビアのフィンガレスグローブ、レース編み、ビーズ編みなどに加えて、紡ぎ人向けには、フリースの種類や扱い方について、どういうブリードを組み合わせて毛糸を作るかなど、プログラムを見てるだけでも楽しくなります。
私はその中でも、Publishing Options for Texitle Folksというクラスを取りました。3時間のクラスで、出版について一体何を話すんだろうと思っていたものの、実際に聞いてみるとあまりの情報の多さにびっくり。
講師のDeborah Robsonさんは、編み物と紡ぎ関係の数々の本を出版してきた人で、編集者としても働いてきた方。Knitting Dailyにも何度か出演されてました。私はこの方が書いた紡ぎ本、The Fleece and Fiber Sourcebookを愛読していて、羊の種類の勉強をするにはとってもすばらしい本です。本というより図鑑といったほうがいいのかも。Deborahさんはそれぞれの羊とその羊毛のカラー写真が載っている、誰にとってもリソースになる本が書きたくて、膨大なリサーチと執筆時間をかけて書き上げたもの。この業界ではずーっと大切にされる本だろうなと思います。
このクラスではそのDeborahさんが編み物やテキスタイル、紡ぎ関係の本を出版するためのプロポーザルの書き方、ネットワーキング、コピーライトの守り方、オリジナルの編み図を雑誌に投稿して、選ばれるまでの過程や編み図を書く時の基本的なルールなどいろいろな話をしてくれました。
私自身は本を出版する!という気持ちよりも、ただこの編み物業界の出版事情やデザイナーさんたちはどういう風な経路をたどって、出版なり、自分のパターンを売ったりしてるのかというのは興味があったので、とても勉強になりました。
その中でも驚いたのが、たとえば大手の出版社から一冊25ドルの本を出して、それが売れたとしても著者に入ってくるのはたったの1ドル!!!とのこと。これはアメリカだから?それとも日本もこんなものなのかしら??
だからかデザイナーさんたちは本を出版するだけではなく、自分のホームページから独自に編み図を売ったり、雑誌に記事を書いたり、ブログでアフィリエイトプログラムを活用したり、毛糸会社と提携したり、イベントでクラスを教えたり、自分の毛糸ラインを作ったりなど、いろんなことを同時にやることが多いそうです。
隣にすわっていたおば様も、この1ドルにはびっくりしていて、「あら、やっぱり出版なんて考えやめようかしら・・・?」といってました。
でも自費出版をすると、その分、自分の手元に入ってくるお金は増えるものの、そもそも本を書くためのリサーチやデザイン、写真、編集などもろもろのことをする費用が手元にないと書き始めることさえ難しいとのこと。
自分の出版会社を持っているDeborahさんですが、このFiber SourceBookは他の会社から出版されていたので、生徒の一人が「なんで自分の出版会社から出さなかったの?」という質問にたいして、「うちの出版会社にはお金がないから、カラー写真付きのハードカバー本なんて出せないの。大きな会社ほど懐が深いからこそあの本が実現したのよ」とのこと。なるほどー。
とにかく、目からうろこの出版事情でした。
ちなみにこのクラス、20人ほど生徒さんがいたのですが、30代の私は恐らく最少年齢だったと思われます。フェスティバル自体は30代の人よりもはるかに50~60代の方が多数でした。これは編み物&紡ぎイベント全体に言えることなのかもしれません。
そして、楽しみにしていたマーケットプレイス。これはクラスを取っていなくても自由に入れるようになってます。
出店は去年と同じお店もありましたが、新しいお店もいくつかありました。いくつかのお店の人と話したり、毛糸を吟味したり、紬ぎ車に触ってみたりと、小さい場所なのに2時間以上もうろついてしまいました。
そして今回購入した毛糸は、Black Water Abbey Yarnsというアイルランドから輸入している毛糸を売っているコロラドの毛糸会社のWorsted yarn。小さな会社らしく、オーナーとそのお母さんと親戚でなんとか切り盛りしてるようです。今はオーナーの女性、お母様とアイルランドに旅行に行った際にこのちいさな毛糸生産工場を発見し、それから交渉して自分でアメリカに輸入することになったそうです。
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Black Water Abbey Yarns Worstedのカラーカード。 |
アイルランドの小さい工場で作られている毛糸なので、毛糸屋さんむけのWholesaleは一切なく、オンラインショップのみで販売しているということもあって、カラーカードを無料でもらうことが出来ました!
ここの毛糸はざらっとした硬い感触の2Plyの毛糸。厳しいアイルランドの気候のなかで過ごしている羊の毛という感じがぷんぷんします。いわゆる「itchy」かゆい毛糸なので好き嫌いがはっきり分かれるかも。アメリカの人はどうも素肌にセーターを着る人が多いようで、こういう毛糸よりもメリノとかを好むような気がします。私はセーターの下にもしっかり着込むので、かゆい毛糸でも大丈夫。
アイルランドといえばアラン模様!まさに縄編みがきれいに浮き上がりそうな毛糸です。ラオリンがまだ含まれているためウォータープルーフ。毛玉も出来にくいし、洗うたびに柔らかく暖かくなるんですよね。長年着る用のセーターにはもってこいだと思います。
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この色はGray Seaといいます。 |
で、早速アラン模様のベストを今週から編んでます。アイルランド製の毛糸で、アランベスト。とーっても正統的な感じです。
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もうすぐ後ろ身頃が終わります。 |
パターンはこのお店でかったHawthorneベストというもの。お店でサンプルがあったので試着してみたらぴったりで、周りの人にも似合う!と言われたのに嬉しくなり毛糸に加え、編み図も購入。
とくにウエストシェイプもないベーシックな形なので、体型がはげしく変化しない限り、10年後くらいでも着れると思います。
出来上がるのが楽しみです!
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